HPW プリンセスロード 夢香の夢〜最悪の世代
博多プリンセスレスリング。
総勢40名の選手が所属する女子プロ専門の団体。
5年ほど前よりプロレスラー養成学校を経営しており、現所属選手の大半はそこの卒業生である。
青山 夢香。
現在博多プリンセスレスリング所属の彼女はその学校の4期生である。
学校には歴代学年毎に2つ名のような称号を持つ生徒が存在し
現段階で
1期生 三銃士
2期生 唯一無二の妖精
3期生 十傑
5期生 四天王
となっている。
※ちなみに卒業生全員がHPW所属では無いのであくまでも当時の肩書きである。
そして、この青山 夢香ら4期生は"最悪の世代"と呼ばれていた。
「こら!夢香!また遅刻か!」
「すいません!桜が綺麗だったもので……」
青山 夢香
彼女は遅刻上等、座学は昼寝時間、試験は赤点ギリギリと模範的問題児であった。
卒業試験も危うかったが、同期の"天才"龍造寺 さやか からフォールを奪い、冴島 涼の推薦により無事卒業とHPWへの内定が決まった。
「教官殿!ワターシも桜を見たいとばーい!」
やや訛った喋りをする外国人。
彼女も夢香と同期。
名は ウィリアム・三浦・マリー。
虫嫌いで、虫が紛れ込んだという理由で授業中に突如消化器をぶちまけるなどやや常識にかけた行動をする。
「いいですね〜今から花見にいきましょうか〜」
1テンポ遅れた喋り。彼女こそが内藤 遥。
一見真面目そうに見えるが…1番何も考えていない。
天然故にこの問題児達と絡むと彼女も問題児となるのだ。
この三人と現在、別途トレーニング中の大久保 かすみ を入れた4人が最悪の世代と呼ばれている。
実力がないのであれば、単に劣等生として不合格ですむのだが、困ったことに彼女と龍造寺を含めた5人がこの4期生の中でトップなのである。
「貴様ら!そもそも教官である私が何故貴様ら三人をわざわざ呼び付けたかわかってないようだな!」
「はい!教官殿!私たちの頑張りを労った同窓会ですか!?」
「違う!!いいか、貴様らは4期生の中でも問題児でありながら、実力を見込んで私は送り出したのだ。そしてデビューから1年半…ところがどうした…三浦、内藤、お前たち2人は勝率2割。青山、お前に至ってはデビューからの14戦全て敗北!!!」
「てへっ」
「ここが法治国家でなければ、今頃は川に放流していたのだがな」
「でもでもでも!私!やる気は負けてませんよ!!いつか…」
「"いつか 冴島 涼を越える"……その言葉は聞き飽きたわ!!」
「ヒェッ」
「そして先日、貴様らの後輩である5期生の四天王全員がHPWでデビューした」
「ですね!榊原さんとはLimeも交換しました!!」
「ワタークシは井伊ちゃんと交換したばーい」
「たわけがーーー!!!!」
教官の怒号が部屋中に鳴り響く。
「危機感を持て!あの4人は品行方正。実力充分…貴様らにも劣らない強さを持っている」
「そんな〜照れますね〜〜」
「遥ちゃん、たぶん褒められてないよ」
「そしてその"四天王"筆頭の酒井 エリが先日こう言い放った…十傑を越える…と」
「えっ凄い!」
「カーッ勇気あるばい」
「馬鹿者!!お前らなんぞ眼中にないって事だ!!悔しくないのか!?」
「うーんまあまあ……?」
「嘆かわしい!!!……そして、そんなお前らに喝を入れるかどうかは不明だが、涼さんが酒井に対してこう返した。"まず最悪の世代を倒してみてよ"と…」
「 「「ええーっ!?」」」
「ということで、4期生 VS 5期生の対抗戦が開かれることになったのだ」
「ん?でも私達、4期生ってさやかちゃん入れたら5人ですよ?」
「ああ、龍造寺は成績優秀だからな。お前らとは同格として扱われていない。だから今回の対抗戦はパスだ」
「凄いなーさやかちゃん」
「サスーガとばい!」
「4期生の誇りですね〜〜〜」
「馬鹿者!!!…ううっ…ううっ……見送る時は馬鹿でも優れた生徒であると思ったのだがな……」
「…教官………私たち、頑張りますよ!」
「そろそーろ本気を見せるとばーい!」
「お、お前ら……本当か?本当に元担任の私が誇れるようなファイトをしてくれるのか?」
「任せてください!!!」
「そ、そうか…なんだろうな、夢香。お前の発言には不思議な説得力がある…頼んだぞ」
「はい!!じゃあ、みんな!!トレーニングに行こう!」
「「おーーー!!」」
ぞろぞろ部屋を出ていき、ジムへと向かう三人。
道中、"最悪の世代"最後の一人である大久保 かすみと遭遇した。
「お、ユメたちじゃーん!」
「あれ?かすみちゃん…ジムにいるのかと…」
「いやー新台入替って忘れててさー!さっきヒトヤマ当ててきたんだよー!」
「えっそうなんだ!凄いね!」
「…ってことで……揃ったことだし…焼肉っしょー!!」
「いえーい!焼肉!!!」
はたしてこんな事で大丈夫なのか!?
舞台はGGA&HPW合同興行へ続く!