GGA チャンピオンズロード "オセロット"
"兄上!今日は陣形の勉強をしました!"
"流石です、兄上!"
"兄上!母の食事は美味しいですな!!"
「夢……か」
俺は料理を残すような奴が嫌いだ。
それが当たり前にあると思って無駄にするような奴は地獄に堕ちるべきと思っている
この名前を名乗り始めてから5年近く経った。
プロレスというのは奥深く、とても楽しい。
軍隊のように面倒臭いしきたりもない。
ま、この団体が特別自由と知ったのは他の連中の話からだったのだが
俺がセンターにいた最後の年、衝撃的な出会いを果たした。
デヴィッド・マクレガー
荒くれ者のように振舞っているが垣間見える洞察力や知性に育ちの良さが伺える。
俺は自分と似た匂いを少し感じていた。
こいつも"愛されなかった子供"なのかな。
しかし、トレーナーのミックからアイツが家に嫌気がさして家出をしたという事を聞く。
ガッカリさせやがって。だが、見込みがあるかもしれない。
あいつを試す為に俺はイタズラをしかけた。
念入りに根回しし、"マクレガーの親父が探しに来ている"という噂を流した。
その噂を聞いてか、アイツはトレーニングを早めに切り上げた。
尾行させてもらったが、父親を探し回っていた。
つまらん、お前も結局"持たざる者"では無かったのか。
こういう恵まれながらソレをドブに捨てたにも関わらず、結局縋るような奴が俺は嫌いだ。
愛など捨てろ。
"お前を愛したことなど1度もない!!"
くだらない。そんな物は望んでない。
「オセロット、俺はマクレガーとお前にこの団体の未来を期待している。勝手な望みで申し訳ないが、デビューした後は出来れば先輩としてマクレガーをサポートして欲しい」
ある日、俺はミックコーチに呼び出され、こう告げられた。
気持ち悪くて鳥肌が立った。
俺は情愛すら捨てた超人だ。
なのに、甘えを捨てきれない"お坊ちゃん"と同列に扱おうとするのか。
しかし、確かにあのお坊ちゃんには見込みがある。
光を無くした時にこそ新たな光が見える。
だからマクレガーはまだ成長段階だ。
そう信じることにした。
数日後、ミックコーチは服用していた薬の副作用が悪化し、亡くなる。
俺はあの発言を遺言として受け止めた。
ミックという光を失った今、アイツは喪失感に襲われているだろう。
そうだ、愛するから喪うと意味が無くなるのだ。
だが、アイツはいつまでも無能のメディチとつるんでいた。挙句の果てに新しいコーチと揉めて、謹慎処分を食らっていた。
お前は"才能"がある。
なんでそんな所に居るんだ。
ミックはそんなことを望んでいないぞ
俺はあいつに教えなければならない。
戦場というものを
それがミックの遺言だ。
奴がついにデビューを果たした。
老人にズルズル振り回されて無様に負けていた。
俺があいつを"救う"番だ。
俺はミックの墓にそう誓った。
貴方がいなくてアイツの力は停滞したままなのだ。
メディチとマクレガーの試合後
気づいたら俺はマクレガーを襲っていた。
そうか、並び立つだけが導くことでは無いのか。
俺はこの"お坊ちゃん"を完膚までに叩き潰す。
これでいいのだろう?ミック。