GGA チャンピオンズロード "シグネチャー"
「マクレガー!マクレガーがまたしても勝ちました!」
「グレゴリーが終始押されっぱなしだったな」
「しかし、ビーストオブプレイでリングの外に落としたのは凄かったですね〜」
「ああ、そしてマクレガーのタフさがまた証明されちまった訳だ」
「マクレガー、何も言わずに退場していきます」
「グレゴリーの元にはアンジェロが駆け寄っている。美しい友情だ」
グレゴリーはやはり負けた。
だが、俺の心を奮い立たせるには充分な試合だった。
俺はグレゴリーを連れてマクレガーの元へ行く。
試合前に結果がどうであれマクレガーがグレゴリーと話したいそうで、メディチから終わったら会うようにメッセージが来ていた。
「連れてきたぞ」
「アンジェロ…一体何を…」
「すまない、俺もよく分からないが悪い話じゃないはすだ」
俺はグレゴリーを椅子へ座らせる。
一体マクレガーは何を話す気なんだ?
「わざわざ、すまねえ。集まってもらったのは俺らの目的について話そうと思ったんだ」
マクレガーはドラゴンとの"協定"について話をしてくれた。
だが…俺らにとってはその話は別の人物から聞いた話だった。
「なるほど、アンジェロから自分の経歴を聞いたのか…しかし、マクレガー…君はドラゴンと手を組んだのか…」
すまないグレゴリー、だいぶ前に話してしまったんだ…
俺は彼らに言えない"秘密"を抱えているというのに。
「ああ、グレゴリーもこんな事でクビにはなりたくねえだろ?」
「だが、自分はこの団体へは恩義で働いているので、上が森へ帰れというなら大人しく従うよ」
「なるほどね、関係ない話に巻き込んですまないがアンジェロはどうだい?なかなか話す機会がなくてね」
謝らないでくれ、メディチ…俺は……
「第一自分らに話してどうするんだ?署名でもするのか?」
遮るようにグレゴリーが質問をした。
すまない、助かった。
「確かに、俺もなんでわざわざグレゴリーに話をするのか気になったよ」
「…まあその通りだ。俺はそのリストとかに書いてある全員へ俺の賛同者となってもらう。ケネディを辞めさせるための」
「は!?」
なるほど、そう来たか…!
「おいおいおい、マジかよ」
「ああ、色々考えたんだけど、そもそも、俺がケネディに勝ったからってアイツがまた王者になったら繰り返しだろ。それに1回負けたくらいで価値が下がるような男かよ。正直今の時点で辞める!とか言い出しても団体は必死に止めると思うぜ」
「まあそりゃそうだけどよ…」
「なるほど、狩られる前に狩るか。…面白いね。そのゲームには乗っからせてもらおう」
「話が早い男は好きだぜ」
「アンジェロ先輩も…」
一瞬、頭が真っ白になった。俺もバレてるのか…?
それともグレゴリーは過去を話したことを怒ってるのか?
「アンジェロは関係なくないか?」
「署名なら別に誰がしたって多い方がいいだろ」
「なるほど、それはそうだ」
少し戸惑いつつも俺は安堵した。
俺達はマクレガーの用意した紙に署名と指印をし、俺はいそいそとグレゴリーを再び抱えて彼らの元から去ろうとしたが、グレゴリーが止めた。
「まて、実は自分からも話がある」
「なんだ?質問かい?」
「いや、実は"自分は"この経緯を先に知っていた」
「ドラゴンから聞いてたって事か?」
「いや、ゴーストだ」
「え!?ゴースト?」
「そうか、あいつから話が出るのだって、可能性もそりゃあるよな」
「経緯は一緒だったが、目的は違っていた。ゴーストはリストの"囚人"を集めてクーデターを起こすつもりだ」
「クーデター!?どういう事だよ!」
「詳しい手段は言われなかったが全員を救済できる方法とは言っていた……自分は団体自体には恩があるのでこの話には乗らなかったがね」
「個別に話を聞いたのか?」
「いや、複数人でだな、リスク回避から全員ではなかったが」
「誰が居た?」
「フッ…獲物は探してる時が楽しいんだよ…とまあ冗談はさておき、時間も無さそうだし教えよう。"スワンプマン"だ」
「スワンプマンだって!?そいつはやべぇよ!」
いちいちリアクションがオーバーで面白いなメディチは
「知ってるのか?メディチ」
「むしろ知らねえのかよ!!まあいい、後で話すよ」
「そうか、そのスワンプマン以外は?」
「"居なかった"」
「そうかい、ありがとう」
俺はグレゴリーを連れて部屋から出た
「すまなかった…ありがとう」
「…自分の過去なんて探せばすぐ出てくるから今更隠すつもりは無いですよ」
「いやちがう、それもだが…」
「先輩の過去は…先輩自身が言うべきですからね」
「言える日が来るんだろうか」
「自分の時みたいにゴーストに言われるより先には言った方がいいとは思いますけどね」
そう、ゴーストには俺、グレゴリー、スワンプマンの3人で集められたのだ。
グレゴリーは最初何も知らず、なぜ俺が居ると言った感じだったが、ゴーストによって3人の罪が全て明かされた。
グレゴリーは最初こそ驚いていたが特に触れず、今まで通りで居てくれた。
「まあ話しても2人とも気にしないと思いますよ」
「そうだといいんだがなあ」
俺は…話すことよりも、話す事で過去を認めることが怖いんだ。