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新しく生まれ変わったGGA公式ブログ

GGA 2021 Episode 〜不死鳥の聖剣〜

 

人の心を持つが故に傷つき。

 

人の心を持つが故に苦しみ。

 

嗚呼、この心さえ無ければどれ程楽になれただろうか。

 

 

 

GGAの3大エースの1人であるアギラ。

彼が最初に"発見"されたのは1992年。

ジュニアベビー級という階級が前座やヘビーへの踏み台としてではなく、1つのジャンルとして認められてきた頃。

 

デビュー後、彼はジュニアの新星として坂本浩一と時には争いながらも名タッグとして頭角を表していた。

 

必殺技は垂直落下式の変形パイルドライバー

俗に言うみちのくドライバー。

それの派生としてブレーンバスターからの体勢から持ち上げるフェニックス・カリバーンが絶対的な必殺技だ。

現在は垂直落下式は使用せず、角度を落として放っているこの技。

 

しかし、彼は後悔している。

この技によりある男の選手生命を絶ってしまった事を。

 

その"事故"以来、彼は姿を消していたがGGA旗揚げの数年前に現在のバーニング・アギラこと彼の名を名乗る人物が現れた。

民衆は復活した不死鳥へ沸き立つが、GGAのリングにてレイ・テクニカへ敗北した。

負けた偽者がマスクを脱いだことにより、年齢の不一致から本物ではないことが明らかになった

 

この試合を観戦していた彼の心に火がついた。

 

俺はまた輝きたい。

 

若き戦士達の戦いは光を失った彼の心に再び光を灯すのに充分であった。

 

そう、かつての盟友であり、GGAのGMであるドクトル・デモニオの狙いはこれであった。

天の岩戸と言うべきであろうか。

偽アギラだけではなくGGA自体が彼を再びリングへと呼び戻す舞台装置だったのだ。

 

しかし、ある事により多額の借金を背負っていた彼は中々踏み切れずにいた。

デモニオはアダルベルトへ許可を取り、GGAが彼の借金を背負うことにより背中を押した。

 

そしてGGA登場以来、シングル戦では無敗。

伝説の不死鳥と呼ばれた男は決して衰えていなかった。

 

しかし、同じように不死鳥を名乗る男によってその記録は崩された。

 

北海道の大手団体「BREAK」に所属するバーン・フェニックスに敗北。

 

久しく忘れていた完全敗北という物に彼は打ちひしがれていた。

 

「まだ迷ってるのか?」

 

「ソラール……」

 

「今じゃお前さんくらいだな。私をその名で呼ぶのは」

 

ミーティングルームで1人佇んでいた彼に声をかけたのは盟友レイ・ソラールことアダルベルト。

 

「戦うことが好きな自分に嫌気がさす」

 

「何を言っとるんじゃ、戦うのが我々の仕事だろう」

 

「それは分かっている」

 

「分かっているなら、なぜ迷う?しかも私が教えた技もオリジナルの名前をつけたのに全然使っとらんではないか!あのーーウォーなんとか」

 

「ウォーターフロウジョン」

 

「それじゃそれ。それもだが脳天技を使わないのはまだあの事を引きづっておるのか?あれは事故でお前には……」

 

「関係あるさ…俺の技量不足で招いた事だ」

 

「しかし、今のお前なら問題なく使いこなせるであろう?」

 

「迷った心で放つ技は危険だ。それはお前もわかるだろう」

 

「ふん、お前さんはただ胡座をかいて相手を舐めているだけだ。

全力を出し切らないファイトなど相手へのリスペクトにかける行為だ!

隠し玉?切り札?出そうともせずに負けることに何の意味があるんだ?

咄嗟のことで致し方なく負ける場合もある。

それはわかる。

だが今の貴様は相手を舐めているだけにしか過ぎない!!!」

 

「き、貴様!」

アダルベルトの胸ぐらを掴むアギラ。

 

違う、俺は

 

「ムキになる辺りどうやら図星だったようじゃな?」

 

「違う!!俺は…!!俺は……」

 

 

自分が心がない機械であったならばこれ程

悩まなかったであろう。

 

デビュー前、俺は「お前のファイトには生気がない」とトレーナー達によく言われた。

意味不明だった。

当時は真に強い男がなる職業として1番だったプロレスラー。

強さこそ全てであり、人気になるのではないのか。

違うのか?

 

そしてデビュー戦。

俺は緻密なファイトで初勝利を遂げた。

天才現る。

週刊誌にそう取り上げられ、気持ちが良かった。

 

しかし以後、俺の試合に会場が沸き立つことはなかった。

 

「気迫がない」

 

「感情がない」

 

そう俺を非難する声。

理解が出来なかった。

俺は学んだ技術の全てを表現しているだけだ。

感情を剥き出して何になる?

 

デビューから数年後、俺は契約を更新されなかった。

解雇されたのだ。

同期では1番の実力を持ってたのにもかかわらずだ。

 

理解が出来なかった。

世界は俺を理解してくれるはず…!

若くて慢心していた俺は軽量級の本場、メキシコへ渡りマスクレスラーとしてデビューする。

 

"アギラ"の誕生だ。

 

俺はそこで爆発的な人気を得られ、レイ・ソラールという盟友にも出会えた。

彼の紹介でデモニオとも知り合った。

そして、団体がかつて俺をクビにした団体と提携した事により、彼らと共に日本へ"来日"した。

 

俺の正体はトップシークレットとされていた為、かつて俺をないがしろにした奴らに知られることはなかった。

 

俺はソラール達と共に"ガイジン"として活躍し、人気も得られた。

ファイトスタイルはデビュー当時より全く変えてないにも関わらずだ。

 

時代が俺に追いついた。

そう慢心していた。

俺を妬む声やお前と戦うと自信を無くす等の弱気な批判もあったが、俺はソラール達という理解者がいるお陰で気にせず戦うことが出来た。

 

しかし、あの事件が起きた。

俺が放った技により若手レスラーの頚椎が負傷。

二度とリングへと上がれない体としてしまったのだ。

 

その時、俺は気付かされた。

 

俺たちの"戦い"と言うのは、誰かを蹴落とし、 奪うことで成り立っているという事を。

 

後ろから聞こえる。

 

俺に負けたせいで未来がなくなった者達の声が。

 

俺はこれ以上、戦えない。

 

滑稽だった。

感情というものをバカにしていた俺が

感情により戦えなくなった姿は。

 

罪悪感に襲われた俺は多額の借金を背負い、慰謝料として相手へと支払った。

 

それでも気は晴れなかった。

俺はリングから逃げた。

ソラール達は事故だと庇ってくれたが

 

違う。

 

全ては俺の独りよがりな戦いのせいだ

 

 

思い出すべきではなかった。

 

戻るべきではなかった。

 

誘惑に負けた俺はこうも無様にリングに上がり続けている。

 

 

 

「……違うさ、昔のお前と違い、今のお前は独りよがりなんかじゃない」

 

「それに、あの当時と比べて受け身の技術というのも発展している。同じ過ちは起きないさ」

 

「相手を信頼しろ、アギラ」

 

"マエストロ"の言葉が刺さる。

そうだ、俺はこいつの言葉にいつも勇気づけられていた。

こいつが準備した舞台だからこそ俺は戻れたのだ。

 

「信頼……か」

 

「そうだ。そもそも何のために戻ってきたんだ?戦いたいから戻ったのであろう?」

 

「……そうだな」

 

俺は仲間の為に戦っている。

コイツが俺を励ますように、俺はこのGGAでエースであり続けることでコイツやコイツの"子供達"の支えになっているつもりでいる。

 

傷つく事は怖くない。

傷つける事が怖いのだ。

 

しかし、何もせず悔んでのうのうと生きていく人生に別れを告げた。

 

感情を武器にして戦うのがプロレスラー。

ようやく俺はその意味がわかってきた頃だ。

 

「わかったよ……俺は全ての技を解禁する…GGAの為に…俺自身のために」

 

「まだ迷ってるようだがな?」

 

「ああ、この迷いは決してゴールへとたどり着くことは無いだろう……

だが、俺は戦いづけ無ければいけない。

俺に夢を奪われた者達を背負って……

もう、止まることは許されない。

俺はあのリーグ戦に全てをぶつける……!」

 

 

人は心を持っているからこそ戦える。

 

進もう、修羅の道を