GGA チャンピオンズロード "ベノム・ビースト"
何時からだろうか、戦いに虚しさを感じたのは
僕は産まれ育った部族の力を示すためにプロレスラーになった。
スワンプマン。その名の通り、沼地から現れた毒の怪物として多くのレスラーをマットへ叩きつけた。
僕は力を示すが、試合を見に来ているみんなは僕を見ていない。
いや、見ているのだが、部族の誇りも、素晴らしさも何も見せれていない。
ただ、ひたすらに恐怖、自分の好きなレスラーが負けたことによる悲しみの声の方が大きかった。
僕はだんだん歪んでいった。
相手レスラーが苦痛の表情をするのが楽しくなってきた。
むしろ、腹いせにそうならざるを得なかった。
デビューして3年目。
我に返った。
僕は暴力の為だけに闘ってるんじゃない。
このままだともっと歪んでいく気がした僕は団体にパートタイム、実質フリー状態の契約を結んだ。
僕の闘う目的を知っているフロントは申し訳なさそうに、悲痛さを噛み締めながら謝ってきた。
ならもっと別の売り出し方があったんじゃないか?と思ったこともあったが、僕みたいな野良犬を拾ってくれただけでも感謝だ。
戦わないと給与が発生しない代わりに、無理に出る必要が無い……
自然と暮らしてきた僕にとってこれが正常だった。
それから数年後、後輩で僕と同じような自然派のグレゴリーさんが入ってきたが、彼にも勧めたけど、彼は団体の支えになる事が恩義を返す事と反論され、断られた。
真面目だなあ。と思った。
ある日、僕はゴーストさんに呼ばれグレゴリーさん、アンジェロさんと共に彼に誘いを受けた。
団体に不満はないか。今こそ蜂起の時だ。
だのなんだの言われていたが、ここまで好き勝手にやらせてもらってる手前、誘いにはイマイチ乗れなかった。
グレゴリーさんも当然乗らなかった。
よかった、さすが僕が認めた男だ。
もう1人のアンジェロさんはあまり興味が無い。弱そうだもの…
僕は断ったグレゴリーさんが心配で都市部へ泊まり、テレビで放送を見ることにした。
普段全くチェックしないけど、何かいじめにあったりしてないか心配だ。
見たところで分かるわけではないけれど、ゴーストさんにああ言われてから少し、向き合えるというか…現状に興味がでてきた。
どうも、次はデヴィッド・マクレガーという大型ルーキーがグレゴリーさんと戦うらしい。
その試合を見ると衝撃的だった。
彼からは荒々しいスピリットを感じた。
この男の苦痛の表情は僕に失われた何かを取り戻してくれた。
そして、マッチメーカーの冴島さんから連絡がくる。
次、マクレガーと戦ってみないか
僕は二つ返事でOKをだした。
冴島さんは驚いていた。当然だろう、5年間リングに上がるのを拒否していた男がOKをだすと思わなかったんだろう。
ただ、あの見慣れた港町へたどり着いた時、後悔が襲った。
マクレガーを倒すことで僕はまた非難されるのか。
杞憂した気持ちの中、酒場によるとマクレガーを見つける。
そうだ、リングに上がる前に潰せば僕はあの目を見なくて済む。
そう思ったが上手くは行かなかった。
ただ、彼との試合を楽しみにできるようになった。
アンリミテッド・サバイバー…不死身か、いいあだ名だ。
そんなマクレガーと今から試合だ。
実に楽しみだ。僕を倒してくれるのだろうか。
試合↓