GGA チャンピオンズロード "キング"
「俺の勝ちだ!!!」
「流血戦を制したのはデヴィッド・マクレガーだァァァ!!!」
「もはや止められないのか!?」
「圧倒的パワー!!しかし、あの男はそれを黙って見ることはできなさそうです!」
「観客席にいるあの男は!!」
「「ケネディ・ディアス!!!」」
「デヴィッド・マクレガー」
「出てきやがったな、ついに」
「俺は18回目の防衛戦の対戦相手としてお前を指名する」
「な、なんとーーー!!!王者から直々に指名が!これで直接指名されたのは3人目ですね!」
「チェイス、パシャ…どちらも元々ケネディと敵対していたレスラーだったが…何も因縁も無しにここまで王者を奮い立たせたのは初めてなんじゃないのか」
リングで睨み合う両名。
リング外で起きたあの"事実"が両名を深く結び付けたが、そんな事はどうでもよかった。
リングに立ち上がった今、"プロ"として戦う。
幕が上がればやりきる。終わるまで。
「ああ、チャンピオン直々に指名とは恐縮だぜ」
握手の為の手を差し出すマクレガー
「よろしく頼む……」
「これは楽しみな展開となりました!!王座戦は月末のPPVで!!ではまた!!!!」
握手をしてから鳴り止まぬ拍手。
ケネディは小声で後で話があると呟いていた。
俺はそれに応じて、その後チャンピオン専用のVIPルームまで向かった。
部屋のソファーに腰掛け、ケネディの話とやらを聞く。
「しかし、本当にふてぶてしい奴だな貴様…」
「いいだろ、さっきの試合で疲れたんだよ」
「あの程度で不甲斐ない」
「なんだと!?……って今日はケンカをしに来たんじゃねえよ」
「そうだ、貴様に言っておくべき事があると思ってだな」
「なんだよ」
「オーナー達を撃ったあの男についてだ」
やはりか…
だが、俺は知っていた。
シスが既に調べていた、織田 衛の親父であり…あのアヴァロンのメンバーであることは……
そして、奴を支援し狙撃したのは…
「オセロット…」
そう、奴だ。
奴は最初から織田の仲間で俺たちの動向を知るためにゴーストやドラゴンに近づいた。
ケネディは俺がシスに教えてもらった事と同じ事を話し始めた。
そして織田の奴はゴーストを上手く誘導し成り代わった。
ゴーストが旅行の為に長期休暇を取る。その隙に成り代わる。さも長期休暇が「事件を起こした事による雲隠れ」であるように思わせていた。
そしてドラゴンは奴と協力者…"兄弟"同士で潰し合うように俺を誘導した。
ツインズを仕向けたあの事件もドラゴンの仕業だったようだ。
更にケネディにリストが漏れたのも奴の仕業だ。プライドが高いコイツが怒り狂うのを分かってやっていた。
ただ、ドラゴンの願いであるコイツを止めて欲しいっていうのは本心なのだろうな……
「おめえはそれをどこで調べあげたんだよ」
「俺にはフィリップという頼れる弟がいる。ツインズやドラゴン、ゴーストと接触して調べたようだ……貴様らとは出来が違う立派な奴さ」
「何だかんだ兄弟ができて嬉しいんじゃねえか」
「ふん、フィリップを貴様らと同じにするな」
「こないだのリストを見て納得したよ。王になったアンタが戦ってきた選手のほとんどが"兄弟"だった。推量るために戦ってたんだろ」
「気づいたようだな。ああその通りさ…だが、どいつもこいつも黄金を継承するに相応しくないクズばかりだった」
「そうかい……俺が戦った奴らはそんな思わなかったけどな」
「性格が良くても貴様に負けた時点で弱者であることには変わりはない。よって覚える価値もない」
なんなんだこいつ
どう間違えたらこんな高慢ちきに育つんだよ
「で、話は戻すけどその犯人の話をしてどうすんだよ」
「俺はあいつを捕らえたい」
「どうやって?」
「俺と貴様が戦えばアイツは必ず何かしらアクションを起こす」
「そう思う根拠は?」
「あいつは結局黄金の鍵であるこのベルトを握れていない。ここまでアクションを起こした今、俺も貴様も戦っている隙くらいでしか奪う機会はない」
「なるほどね、でも本物のゴーストはもう戻ってるだろ、素顔で行ってもガードマンに突き返されるだろ」
「冴島が協力者なのは分かっているだろう…」
「ドラゴンを使って運ぶってことか。まあ確かに元王座がかっぱらいに乱入してくるってのは自然な流れだな」
「よって俺は貴様を初めから全力を持って倒し、余力を残したままドラゴンを捕らえる」
「あ?結局は改めての宣戦布告かよ」
「ああ、今日みたいにあの事が気になってお前が全力を出せないとなると困るからな」
違う、俺は事前にシスから聞いていたから迷ってはいない。
俺は今日は迷わず戦えた。
だが、この男の目には全力でないように見えたという事は俺を買い被っているのか舐めているのか……
いずれにしろ俺の全力は弱く見えてるってことか…
「いいぜ、俺も全力全開で臨ませてもらう」
「では話は以上だ」
「そうかい」
俺はVIPルームを出て、メディチに連絡した。
「元気か?」
「どうしたんだよ、兄貴!」
「やめろよその呼び方は」
メディチはあれから俺やアンジェロの事を兄と呼ぶ
「いやさ……俺は嬉しいんだよ…かけがえのない友が実は俺の家族だったなんて…」
「メディチ…」
ロマリオ・メディチは天涯孤独だ。甘ったれた末に家出をした俺なんかとは事情が違う。
「ついにか…」
「ああ」
「……マクレガー……あんたは俺にとって希望なんだよ」
「どうした急に」
「あんたをパフォーマンスセンターで見てから俺はこいつが次のスターと確信したんだ。俺の夢はあんたをチャンピオンへ導くことだたったんだ」
「メディチ…」
「色々あるけどよ、どんな事があってもお前の輝きを見てるぜ」
「ああ、病室から見ときな……新しい王者の登場を」
俺は天に向け拳を突き上げ誓った。
ケネディ・ディアスを倒す
黄金や陰謀なんて今はどうでもいい
俺が"キング"だ